情報セキュリティとは(2)

情報セキュリティも考え方は自動車と同様です.「情報」という言葉がついていることからわかるように,「情報」そのものを盗難や破壊から守るものが情報セキュリティです.「情報」というものを広い意味で捉え,ありとあらゆるものに情報があると考えますが,ここではコンピュータによって処理されるデータなどを「情報」として考えます.文書やデータだけでなく,コンピュータを動かすためのプログラムも情報です.

「情報」が車の中の「物」と違って厄介なのは,情報は盗まれたりちょっと書き換えられただけではわかりにくいという点にあります.また,車の中の物を盗るためには車に近づく必要がありますが,インターネットに代表されるようにネットワークにつながれたコンピュータには物理的に近づかなくても情報に触れることが出来てしまいます.さらに,見るだけで情報は盗めますし,電子的な情報は簡単にコピーできてしまいます.こうした点が「情報セキュリティ」を難解にしている点であり,どのようにして情報を守るかということに頭を悩ます点でもあります.

ネットワークという言葉が出てきましたが,これはコンピュータ同士がつながっている状態を示します.昔のコンピュータは一台単独で動き,他のコンピュータとつながるということはほとんどありませんでした.逆に言えば,他のコンピュータにつながらなくてもやりたいことが出来ていたともいえます.しかし今日では,コンピュータが単独で外部とつながらないことはほとんど考えられません.総務省の通信白書2005年度版(http://www.johotsusintokei.soumu.go.jp/whitepaper/ja/h17/index.html) によると,平成16年末にはインターネット利用人口は7,948万人と推計され,国民の62.3%がインターネットを利用していると報告されています.ほぼ三人に二人の割合でインターネットを利用しているということですし,それを超える数のコンピュータがネットワークにつながっていることになります.「コンピュータ」とひとくくりにして説明しましたが,この中には携帯電話やゲーム機,家電なども含まれています.このような一見コンピュータとは見えないようなものにも情報が含まれ,ネットワークでつながれているのです.

ネットワークにつながれた状況では,他人の情報にいたずらをしたり,そのつもりが無くても他人の情報が見えてしまったりします.ちょっとしたいたずらなら笑って済まされるかもしれませんが,金銭が絡んだり,他人に見られたくないプライバシーが覗かれたり,人に見せてはいけない重要な情報が盗み見られたり,無くなっては困る情報が壊されたりすると,取り返しの付かないことになります.このようなことから大切なもの(情報)を守るのが「情報セキュリティ」です.