8割が内部犯行か?

(V.S.A. 「原発の安全・安心」を読んで)
原子力発電所では人間系を完全に信用しているようだ.

情報セキュリティの世界でも技術先行,組織フォロー,人間系後回しという状態にあったが,経済産業省の情報セキュリティガバナンス政策などのように,今では人と組織が一体となった対策が行われるようになってきた.情報セキュリティの世界では「性悪説」が常識となりつつある.

その理由の一つとして「事故の8割が内部犯行と言われている」という話を聞くが,この話には根拠がない.正確にはかつてはそうだったこともあった,というべきかも知れない.

情報セキュリティ大学院大学の内田先生の「第2回 情報セキュリティアンケートへのご協力のお願い」の中からリンクされている「2003 CSI/FBI Computer Crime & Security Survey(日本語)」という記事の中でも言及されている.まだインターネットがそれほど普及していない頃の FBI の古い調査の結果に「8割」という数字が現れるらしい.しかし,インターネットの普及につれて,むしろ外部犯行が増えてきている.相対的に内部犯行の割合は減ってきているのである.また,日本と米国の状況も異なっている.内田先生の同じページの「http://:title=第1回情報セキュリティ調査結果」も興味深い.

ここで一つだけ注意しなければならないのは,割合と絶対数は異なるということである.全体の数が多くなっていることにも注意しなければならない.

CSI の "2005 CSI/FBI COMPUTER CRIME AND SECURITY SURVEY" が出ているので,興味のある方は参照されるとよいだろう.